売上税廃案
(1987年2月)23日の午後に大蔵大臣不信任決議案が否決されると、事態収拾の動きが活発化する。夜9時過ぎには、議長が与野党の幹事長・書記長を集め、調停案を示した。その内容は、「・売上税関連法案は議長が預かる、・税制改革は現在の最重要課題の一つであり早期に実現できるよう各党協調し最大限の努力を払う、・このため衆議院に税制改革に関する協議機関を設置する、・売上税関連法案は協議機関の結論をまって処理し、今国会中に結論が得られない場合は、その取扱いは各党の合意に基づいて措置する」というものであった。調停案に伴う議長と野党とのやり取りでは、各党の合意が得られない場合は「今国会廃案」と確認された。廃案を明確にするよう求めてきた野党の全面勝利であった(ただし、共産党は調停案に反対)。総理は「勝負はこれから」と廃案を認めず強がったが、この時点で廃案が確定した。与党としては総予算が最優先であり、その強行採決がとても許されない情勢下で大きな譲歩はやむを得ず、調停案に廃案を明記しないことや協議機関の設置でかろうじて総理のメンツを保つこととなった。売上税廃案により、昭和62年度総予算は深夜から再開された本会議で1時間ほどで可決された。
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