別れめ
仰げば尊しの歌詞に出てくる「今こそ別れめ」の「め」は「~しよう」という意志、決意を表す助動詞。「別れ目」とは書きません。
この「め」は古語の助動詞「む」の已然形になります。助動詞「む」は「意志」を表す言葉。徒然草では「かさねてねんごろに修せんことを期す(もう一度、しっかり修めようと決心する)」という言いまわしが出てきますが、この「ん」と同じ意味になりますね。「~するぞ」「~しよう」という意志、決意表明。
仰げば尊しでは、「別れめ」の前に「こそ」という言葉があります。これは係助詞と呼ばれるものでした。現代語にするときは特に訳す必要はなく、あとの言葉を強調します。つまり「今」というこの瞬間ではなく「別れる」という動詞を強めているわけですね。係り結びによって強調された言葉は已然形になるので、本来「今別れん」と書くところが、已然形の「別れめ」と変化しているわけです。
まとめると「今こそ別れめ、いざさらば」は「さあ、今(こそ)別れよう」という現代語になるのが正解であるということ。「今が別れ目ですね、さよならしましょう」ではありません。
https://kotobano.jp/archives/2003
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