抽象
https://kotobank.jp/word/抽象-97265
経験されたもののなかのある特性に注目してこれを取出し,ほかを捨てること。同じ語が捨てられる特性についていわれるとき捨象と訳される。スコラ哲学は抽象を重視,具体的な個物よりその類や種を引出すこと,質料より形相を切り離すことを抽象と考えた。ここで2つの操作を区別しなくてはならない。一つは一個の対象の本質などをとらえること,もう一つは一般者をとらえることで,後者にあっては一群の存在者の共通要素を帰納的に比較考量することが必要である。また意図的な論理的操作としての抽象のほかに,非意志的な抽象があり,E.スーリオは感情の抽象作用を認めた。抽象的とは具体的の対概念で,純粋に思惟的なもの,非直観的なものをいい,必ずしも抽象作用の結果とはかぎらない。
しかし「抽象的」といったとき、単に具体性に乏しいという「悪口」くらいにしか理解していない国語力の人間があまりに多いと感じるのである。そういう人は「ある特性に注目してこれを取出し,ほかを捨てる」という抽象化による思考ができない。
« 角部屋 | トップページ | 脳卒中による障害 »
« 角部屋 | トップページ | 脳卒中による障害 »
コメント