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2019年6月11日 (火)

『総額表示』と『外税方式』

https://diamond.jp/articles/-/13275

「消費税率はいつから、何%引き上げるべきか」と題する文章を書いた。その中で、「消費税は価格の値上げを通じて消費者に負担を求める税なので、デフレ経済下では、下請け、孫請けが元請けに、あるいは商店が顧客に消費税増分の価格転嫁をできず、自らのマージンを削って負担する『損税』を生じさせかねない」ということを書いた。
「『損税』が生じる原因の一つは、『総額表示』にある。『総額表示』のもとでは、消費税率の引き上げの際に消費者側が、値上げだと思ってしまうので、価格を容易に上げることができない」という意見である。
 そこで、「以前のように、レジ等で消費税を課税する、『外税方式』に戻してほしい」ということになる。
 平成16(2004)年4月1日以後、法律改正が行われ、消費者に価格を示す場合には、それまでの「外税表示」(税抜き価格表示)から、消費税額を含む価格の表示(「総額表示」)を事業者に義務付ける改正が行われた。
 この理由について、財務省ホームページは以下のように解説している。
税抜価格表示」では、レジで請求されるまで最終的にいくら支払えばいいのか分かりにくく、また、同一の商品やサービスでありながら「税抜価格表示」のお店と「税込価格表示」のお店が混在しているため価格の比較がしづらいといった状況が生じていました。「総額表示の義務付け」は、このような状況を解消するために、消費者が値札等を見れば「消費税相当額を含む支払総額」が一目で分かるようにするためのものです。 ……価格表示によって生じていた煩わしさが解消され、消費税に対する国民の理解を深めていただくことにもつながる……。
 もう少し付け加えると、免税事業者の益税問題への対応という一面もあった。益税というのは、消費税を過剰に転化することである。免税事業者は、消費税の課税を免除されているので、自らのマージンには消費税はかからないが、仕入れには消費税を負担しなければならない。そこで、その分は消費者に転嫁することが予定されている。しかし、「益税」と誤解されるので、自らの仕入れにかかる消費税分はなかなか転嫁しにくい、といった消費税と価格の問題があった。そこで、総額表示になれば、そのようなややこうしい議論は無くなるというわけである。
「消費者」にとっては、総額表示は明快で便利である。頭で余分な計算をする必要もない。しかし、「事業者」の中には、この総額表示の義務付けが、かえって消費税を転嫁しにくくなったという声があるのである。
価格を形成するコストである人件費・原材料費や燃料などが日々価格変動していく中で、モノの価格が市場メカニズムで決まっていくと考えるなら、消費税率の引き上げだけが、特別なコストとして扱われる、つまりその分だけは絶対に引き上げなければならない、と考えることには、やや無理がある。
 では、VAT(付加価値税)の本場欧州ではどうなっているのか。かつてフランスの税制当局と話をした際、「日本では消費税率を変更する前日、店は徹夜で価格表示を張り替える」という話が、彼らには通じなかったことがある。
 フランスでは、総額表示一本であるだけでなく、モノの値段は、様々なコストの変化を反映して変化しており、消費税率の引き上げはそのワンオブゼムのコストの変化ととらえられている。近い将来、消費税率が引き上げられることになった場合、商店は、価格政策の一環として、価格転嫁のしやすい売れ筋商品から、タイミングをはかって値段を引き上げていくそうである。
 価格全体として、消費税率分を転嫁できていればよいという考え方なので、税率引き上げ時に合わせる必要はない。このようにEU諸国では、消費税がコストのひとつとして物価に溶け込んでいるので、「益税」という言葉は存在しない。
 結局、価格表示の問題は、事業者が消費税率の引き上げを、さまざまなコスト変動の一つと認識するか、これだけは絶対転嫁しなければならないコストととらえるかという意識の問題とも言える。大変悩ましい問題であるが、消費税の定着のためには、欧州型の価格意識に変わることが必要になるのではなかろうか。

 

 

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