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2019年5月 3日 (金)

MMT

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56283

 

MMTには体系的な理論がなく、金融理論というより財政の考え方だ。管理通貨制度では、不換紙幣の価値は金本位制のように商品の価値とリンクしていないので、自国通貨の価値は政府が通貨供給量でコントロールできる。
 通貨価値の担保は政府の徴税能力だから、政府は通貨をいくらでも発行できる。財政支出が自国通貨でファイナンスできる限り、政府がデフォルトに陥ることはありえないので、不完全雇用のときは財政赤字を拡大して需要を増やし、失業を減らすべきだという。
これはケインズ理論と似ているが、ケインズが一時的な雇用対策として考えた財政支出を、MMTは「雇用保障」として制度化すべきだと主張する。これは政府がすべての失業者を雇用して最低賃金を保障するものだ。
 それには巨額の財源が必要になるが、通貨はいくらでも印刷できるので、中央銀行は政府と合併し、財政赤字は通貨でファイナンスすればいいという。MMTがきらわれるのは、今までタブーになっていた財政ファイナンスの理論だからである。
MMTが注目されるようになったのは、世界的なゼロ金利のおかげだ。普通は財政赤字を通貨の発行で埋めると金利が上がってインフレになるが、21世紀にはその常識が通じなくなった。その証拠が日本だ、とMMT論者のステファニー・ケルトンはいう。

日本の経済には十分な余裕があり、これまでもありました。政府債務は過去の財政赤字の単なる歴史的記録です。これによってわかるのは、これまでの赤字財政で日本経済の過熱を招くことはなかったということです。だからこの水準[GDP比240%]の債務を吸収できたのです。

 安倍首相がそう意識していたかどうかは別にして、デフレのときは「輪転機ぐるぐる」でお札を印刷しても大丈夫だというアベノミクスは、MMTの壮大な実験だった。「通貨を大量に発行したらハイパーインフレが起こる」と危惧した経済学者が多かったが、よくも悪くもインフレは起こらなかった。
 国会で西田昌司氏(自民党)の質問に対して首相はMMTを否定したが、「2012年に私が総裁選挙で大胆な金融緩和について主張したときに、それをやったら国債は暴落し、円も暴落すると言われた。実際は国債の金利は下がり、円が暴落したわけではない」とMMTの主張を認めた。

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