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2019年5月 4日 (土)

右半球損傷での症状の表現、評価について

 

右半球には視空間認知に関連したもの、および注意の転換や持続に関連したものの少なくとも2つの神経回路が推察されており、右半球障害による臨床症状もこの回路の障害として捉えることができます。また、右半球障害は左半球障害と異なり、症状の責任病巣の局在性がピンポイントでないことが特徴とされています。右半球損傷が関与する症状としては、半側空間無視、病態失認、構成障害、運動維持困難、地誌見当識障害などのある程度特徴を持った症状と、注意障害、せん妄、感情障害などのより高次の症状及び精神症状に分けて考えられます。

 

 右脳機能障害全体としての検査方法としては、標準化されているものはありませんが、個々の症状・症候に対して基準化されつつあるのが現状です。以下に代表的な右脳機能障害とよく用いられる検査法を記します。

 

 1)半側空間無視:欧米では比較的よく使われているものとして Behavioral inattention test (BIT)があり、日本版BIT行動性無視検査も作成されています。下位項目としては線分抹消試験、文字抹消試験、星印抹消試験、模写試験、線分2等分試験、描画試験が含まれています。
 2)片麻痺に対する病態失認:片麻痺の存在を無視または否認する症状で、簡便な病態失認のスコアとして Bisiach の4段階に分類する方法があります1)。
 3)構成障害:図形の模写、自発描画、マッチ棒による図形の構成、コース立方体組み合わせテスト、WAIS-R 成人知能検査の積み木問題、などの構成的課題により評価することが多く、文献的には立方体と家の絵の模写が代表的です。
 4)運動維持困難:閉眼、開口、挺舌などの定常的動作を、指示に従って1つずつ、または2つ以上同時に維持できない症状です。Joynt が報告した検査法は、9項目の動作についてそれぞれの動作維持困難に関する検査となっています2)。
 5)運動無視:患側肢(特に上肢)を不自然な状態に放置しており使おうとせず、健側のみで動作を行おうとするものです。Fiorelli による診断基準が報告されており、拍手、ビンのふたをあける、ボタンの留めはずし、などの動作を観察します3)。
 さらにより高次の機能(注意、せん妄、感情・人格など)に関する症状で、右半球に関与するものは以下のとおりです。
 6)遂行機能障害:言語、行為、対象の認知、記憶などある程度独立性を持った高次脳機能を制御し統合する機能障害であり、いわゆる注意の障害にあたります。評価にあたっては前頭葉機能の検査バッテリーが主となりますが、特に右脳障害に関連するものとしては、選択的注意 (selective attention) の検査である Stroop 課題、非言語性の流暢性を評価するデザイン流暢性検査、があります。
 7)せん妄:左に比べて右半球障害でせん妄を生じる確率が高いとされています。用語の定義としては、DSM-IV の一般身体疾患によるせん妄の診断基準、及びせん妄自体の診断基準として Confusion Assessment Method (CAM)、などが用いられています。検査法として特別なものはなく、見当識、記憶、計算など注意の集中と持続を要する課題のほとんどに障害が見られます。
 8)人格・感情の変化:いわゆる器質性精神障害(Organic psychiatric disorders:OPDs)として分類されています4)。ICD-10 の F07.8 には右半球器質性感情障害として定義されております。DSM-IV では OPDs はせん妄、痴呆など各認知障害の章で定義されています。

 

http://www.jarm.or.jp/nii/rihanews/No25/RN2518BD.HTM

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