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2018年12月11日 (火)

脳の可塑性

経験に応じて脳は変化する――。今では当たり前に思えるだろうが,脳が自らを再構成する能力には,もっとドラマチックな意味がある。
 手術や薬の助けを借りるまでもなく,脳は一生を通じていつでも大きく改変できる。必要となれば,脳の各領域は以前とは異なる課題をこなすようになる。ある領域が機能障害を起こしたり傷ついたりした場合,別の領域が代役となって失った部分の役目を果たすことができる。こうした役割分担の変更は,脳梗塞によって言語・運動機能を失った人や脳性小児麻痺患者,指を1本ずつ動かすことができなくなった音楽家や作業員,強迫神経症患者や読字障害患者などで見つかっている。知的にも肉体的にも厳しい訓練を重ねることによって,彼らは失われた機能を取り戻した。
 なぜこうしたことが起きるか。それは脳に可塑性があるからだ。化学物質の変化から新しい神経細胞(ニューロン)の形成,より大きな領域で起きる神経回路の再配線まで,脳内で起きるあらゆる変化を指す。
 かつては,遺伝子によって描かれた脳の設計図があり,脳はそれに基づいて形作られると考えられていた。しかし脳内地図は大きく変化する。障害を乗り越えられたのは,患者の脳内地図が変化したことを示す。
 こうした訓練は小児麻痺などの影響で読字障害になった子供にも効果があったとの報告もある。一部の科学者はさらに訓練やゲームによって統合失調症や自閉症,加齢に伴う物忘れを改善できるかどうかを調べている。今のところ,結果は公表されていない。しかし,そのアイデアが実を結んだら素晴らしいに違いない。

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