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2018年12月 2日 (日)

高次脳機能障害の症状と対応

交通事故や脳卒中などの後で、次のような症状があり、それが原因となって、対人関係に問題があったり、生活への適応が難しくなっている場合、高次脳機能障害が疑われます。
<記憶障害>
記憶障害とは、事故や病気の前に経験したことが思い出せなくなったり、新しい経験や情報を覚えられなくなった状態をいいます。
【主要な症状】
  ・今日の日付がわからない、自分のいる場所が分からない
  ・物の置き場を忘れたり、新しい出来事が覚えられない
  ・何度も同じことを繰り返し質問する
  ・一日の予定を覚えられない
  ・自分のしたことを忘れてしまう
  ・作業中に声をかけられると、何をしていたか忘れてしまう
  ・人の名前や作業の手順が覚えられない
【具体的対応】
 ①新しいことを覚えるためには・・・
  ・一度に覚える情報を少なくし、反復・復習して、覚えます
  ・言葉だけでなく、五感を活用し、得意な記憶方法を用いて覚えます
  ・誤りをさせないよう、正しいことを繰り返し行う練習方法が効果的です
 ②環境を整えます
  ・行動をパターン化して、日課通りに行動するようにします
  ・いつも使う物は置く場所を決めて、使ったら戻す習慣をつけます
  ・大切な約束や予定は目に付く場所に書いておくようにします
③記憶の代償手段を利用します
  ・情報を記憶する:ノート、カレンダー、ホワイトボード、レコーダーなど
  ・行動の開始を助ける:タイマー、目覚まし時計など
  ・スケジュール管理:スケジュール帳、携帯電話のスケジュール機能など
<注意障害(半側(はんそく)空間(くうかん)無視(むし)を含む)>
注意障害とは、周囲からの刺激に対し、必要なものに意識を向けたり、重要なものに意識を集中させたりすることが、上手く出来なくなった状態をいいます。
【主要な症状】
  ・気が散りやすい
  ・長時間一つのことに集中できない
  ・ぼんやりしていて、何かするとミスばかりする
  ・一度に二つ以上のことをしようすると混乱する
  ・周囲の状況を判断せずに、行動を起こそうとする
  ・言われていることに、興味を示さない
  ・片側にあるものだけを見落とす
【具体的対応】
  ①注意散漫にならず、集中するためには・・・
  ・一度に多くの作業をせずに、一つ一つ行います
  ・集中する時間を少しずつ延ばしていきます
  ・興味のあることやなるべく簡単な作業から始めます
  ②環境を整えます
  ・何か行うときは、静かで、整理整頓した場所で行います
  ・注意事項は紙に書いて、目につく場所に貼っておきます
  ③注意の代償手段を利用します
  ・部屋の入り口や生活の動線に目印をつけ、注意を向けやすくします
  ・作業の手順を段階的に示した手順表を利用します
<遂行機能障害>
遂行機能障害とは、“論理的に考え、計画し、問題を解決し、推察し、そして、行動するといったことができない”また、“自分のした行動を評価したり、分析したりすることができない”状態をいいます。
【主要な症状】
・自分で計画を立てられない
  ・指示してもらわないと何もできない
  ・物事の優先順位をつけられない
  ・行き当たりばったりの行動をする
  ・仕事が決まったとおりに仕上がらない
  ・効率よく仕事ができない
  ・間違いを次に生かせない
【具体的対応】
 ①行動がスムーズに行えるようにするためには…
  ・指示は、具体的にポイントを分かりやすく伝えます
  ・時間に余裕をもって計画を立てるようにします
  ・自分が今から行う作業を言葉に出して、確認する習慣をつけます
 ②環境を整えます
 ・行うべき行動が目に見えるように張り出しておきます
 ③遂行機能の代償手段を利用します
  ・一つの課題を実施するための作業手順表
  ・自分で行動を開始するための、アラーム・タイマー
<社会的行動障害>
社会的行動障害は、行動や感情を場面や状況にあわせて、適切にコントロールすることができなくなった状態をいいます。
【主要な症状】
  ・すぐに怒ったり、笑ったり、感情のコントロールができない
  ・無制限に食べたり、お金を使ったり、欲求が抑えられない
  ・態度や行動が子供っぽくなる
  ・すぐに親や周囲の人に頼る
  ・場違いな行動や発言をしてしまう
  ・じっとしていられない
【具体的対応】
 ①やる気がない、自分から何かを始められない場合には・・・
  ・本人に対して「なまけている」と言わないようにします
  ・するべき活動や仕事のチェックリストを作って、具体的に示します
 ②感情のコントロールができない場合には・・・
  ・不適切な行動は怒ったり、叱ったりせず、はっきり指摘するようにします
  ・興奮している時は無理やりしずめず、席をはずしたり課題を変えたりします
 ③行動がコントロールができない場合には・・・
  ・何かを始める前には、立ち止まって考える習慣をつけます
  ・問題行動のきっかけになっている原因を探し、避けるようにします
 ④自分の障害に気付かない場合には・・・
  ・できないことばかり目を向けずに、できたことはほめるようにします
  ・一緒に落ち込まないようにします
・直接的に言わずに、本人が自分で気付くような機会を工夫します
<自己認識の低下(病識欠如)>
自己認識の低下とは、障害があるにもかかわらず「自分は病気ではない」「手足は麻痺していない、歩ける」と言い張り、実際にそう思っていることをいいます。
【主要な症状】
  ・自分が障害を持っていることに対する認識がうまくできない
  ・上手くいかないのは相手のせいだと考えている
  ・困っていることは何も無いと言う
  ・自分自身の障害の存在を否定する
  ・必要なリハビリや治療などを否定する
【具体的対応】
  ・信頼できる第三者をつくる
  ・同じ障害や問題のほかの患者と接し、意識的にも無意識的にもその患者を通し
て自分自身を認識する機会を持つ
  ・外部より指摘しすぎない
<失(しっ)行(こう)症>
失行症とは、指示された内容や行動の意味を理解しているにもかかわらず、その動作ができないことをいいます。
【主要な症状】
  ・道具が上手く使えない
  ・日常の動作がぎこちなくなる
・普段している動作であっても、指示されるとできなくなる
【具体的対応】
  ・できない動作にこだわらず、できる方法、現実的な方法を探す
  ・ゆっくりとした時間を与える
(自発的な行為を待ったり、引き出すように援助する)
  ・疲れたのなら無理をせず、いったん休憩を入れる
  ・邪魔な刺激はできるだけ少なくし、静かな部屋で集中させる
<失認(しつにん)症>
失認症とは、視覚、聴覚、触覚の感覚の機能には問題はないが、それが何であるかがわからないことをいいます。失認は、本人に症状の自覚がなく、また目に見える障害ではないために、周りも認知症などと間違われることが少なくありません。
【主要な症状】
  ・物の形や色、触っているものが何かわからない
  ・人の顔が判別できない
【具体的対応】
  ・無理に治そうとせず、現実にできる動作を生かす
  ・失認があっても、それなりに生活できる環境を整える
  ・他の感覚と関連づけて認識できるよう促す
<失語(しつご)症>
失語症とは、脳出血・脳梗塞または頭部外傷・脳腫瘍・脳炎など大脳言語中枢の損傷によって一旦獲得された言語機能の障害である。具体的には、「聞いて理解すること」、「話すこと」、「書くこと」、「読むこと」4つの能力すべてが病前に比べ多かれ少なかれ低下します。低下の度合や症状も人によって異なります。ショックやストレスなどからことばが出ないのは心理的な障害であり、失語症ではありません。
【主要な症状】
 ★「聞いて理解すること」の障害★
 聴力には問題がなく、ことばを聞いて理解する力が低下します。ただ、軽症例から重症例まで患者さんによって様々です。ものの名前が聞いても分からない、簡単な会話も理解することが難しいです。また、話の内容が複雑になったり、話題が急に変わったりすると理解するのが難しくなります。理解力が悪くても日常会話はその場の状況から判断できる方もいるため、患者さんによっては障害が目立ちにくい場合があります。
 ★「話すこと」の障害★
 意図したことばを上手く話せなくなります。日常生活にさほど不自由のない軽症例から発話がほとんど不可能で意思が他人に伝えられない重症例まで程度は様々です。
【特徴的な症状】
『喚語困難(かんごこんなん)』
 どのようなものか分かっていても、その名前が思い出せない。
『錯語(さくご)』
 ことばを言い間違ってしまう。
①:物の名前を間違って言う。
  ②:音を誤って言う。
『ジャーゴン(ジャルゴン)』
 日本語にないような意味不明なことばを言う。
『保続(ほぞく)』
 同じことばを繰り返して言ってしまう。
『迂回表現(うかいひょうげん)』
 言いたいことばが出ず、言い回しをする。
★「読むこと」の障害★
 音読(声に出して読む)と読解(意味を読み取る)能力は別の力です。音読ができても内容の理解が困難であったり、声に出して読めなくても内容の理解ができる場合があります。読解に関しては、仮名に比べ漢字の方が意味が理解しやすい傾向があります。平仮名だけの絵本よりも新聞の見出しや写真入の雑誌などの方が内容を理解するのに適している方が多いようです。
★「書くこと」の障害★
 書く能力も話すことの障害同様に特徴的な症状が見られます。
【特徴的な症状】
『失書(しつどく)』 意図した文字が書けない。
『錯書(しっしょ)』誤った文字となってしまう。
  ・自分の話したいことを上手く言葉にできなかったり、滑らかに話せない
  ・相手の話が理解できない
  ・文字を読んだり、書いたりすることができない
【失語症者を理解するために知っておきたいこと】
~失語症者の問題点~
・障害が理解されにくい(失語症という障害を知らない人が多い)
・他者とのコミュニケーションが上手く取れなくなる
・自分に自信が持てなくなる
・人との交流の機会が少なくなる
・疎外感や孤独感を抱きやすくなる
・家庭内での役割が変化する
・活動範囲が狭くなる(外出をためらってしまう)
<失語症者とのコミュニケーション方法のポイント>
【基本姿勢】
1.子ども扱いしない!
失語症はことばを操作することの障害であり、礼節ある態度や性格、記憶力や判断力は保たれています。ことば使いには注意し、幼児語などは使ってはいけません。
2.会話は落ち着いた雰囲気で、安心感を与えましょう!
「話を落ち着いて聴いてますよ!」という態度で接すると、持っている能力を引き出すことができます。
3.お互いの表情が分かるような位置や視線で!
会話の相手との適切な距離や視線、表情は人と人との関係を円滑にするためのコミュニケーションの基本です。相手の些細な仕草や表情の変化から思いを推測することが必要です。
【会話の基本】
1.普段よりゆっくり、はっきりと話しましょう!
2.短く、分かりやすいことばで話しましょう!
3.繰り返し言ってみましょう!
4.先回りしないでしばらく待ってみましょう!
5.話題を急に変えないようにしましょう!
※難聴があるわけではないので、大きな声で話す必要はありません。
【話し言葉の工夫】
1.「はい」、「いいえ」で答えられる質問をしましょう!
2.答えを選んでもらいましょう!
「肉と魚はどちらが好きですか?」など、どちらか一方を選んで答える質問方法が好ましいです。

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