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2018年12月23日 (日)

日本の借金1000兆円」はやっぱりウソでした

借金1000兆円、国民一人当たりに直すと800万円になる。みなさん、こんな借金を自分の子や孫に背負わせていいのか。借金を返すためには増税が必要だ。……こんなセリフは誰でも聞いたことがあるだろう。財務省が1980年代の頃から、繰り返してきたものだ。
テレビ番組は時間も少ないので、簡単に話した。「借金1000兆円というが、政府内にある資産を考慮すれば500兆円。政府の関係会社も考慮して連結してみると200兆円になる。これは先進国と比較してもたいした数字ではない」
これに対して、番組内で、ゲストの鳥越俊太郎さんから、「資産といっても処分できないものばかりでしょう」と反論があった。それに対して、多くの資産は金融資産なので換金できる、といった。
筆者がこう言うのを財務省も知っているので、財務省は多くのテレビ関係者に対して、「資産は売れないものばかり」というレクをしている。鳥越さんも直接レクされたかがどうかは定かでないが、財務省の反論を言ってきたのには笑ってしまった。
番組が昼にかかり15分くらいの休憩があった。そのとき、鳥越さんから、「金融資産とは何ですか」と筆者に聞いてきた。「政策投資銀行(旧日本開発銀行)やUR都市機構(旧住都公団)などの特殊法人、独立行政法人に対する貸付金、出資金です」と答えた。それに対して「それらを回収したらどうなるの」とさらに聞かれたので、「民営化か廃止すれば回収ということになるが、それらへの天下りができなくなる」と答えた。
このやりとりを聞いていた他の出演者は、CM中のほうがためになる話が多いといっていた。実際に、番組中で言うつもりだったが、時間の都合でカットせざるを得なくなった部分だ。
第一に、バランスシートの右側の負債しか言っていない。今から20年近く前に、財政投融資のALM(資産負債管理)を行うために、国のバランスシートを作る必要があった。当時、主計局から余計なことをするなと言われながらも、私は財政投融資が抱えていた巨額の金利リスクを解消するために、国のバランスシートを初めて作った。
財政が危ういという、当時の大蔵省の主張はウソだったことはすぐにわかった。ただし、現役の大蔵官僚であったので、対外的に言うことはなかった。
筆者の作った国のバランスシートは、大蔵省だからか「お蔵入り」になったが、世界の趨勢から、その5年くらい後から試案として、10年くらい後から正式版として、財務省も公表せざるを得なくなった。今年3月に、2013年度版国の財務書類が公表されている(http://www.mof.go.jp/budget/report/public_finance_fact_sheet/fy2013/national/hy2013_gassan.pdf)。
その2013年度末の国のバランスシートを見ると、資産は総計653兆円。そのうち、現預金19兆円、有価証券129兆円、貸付金138兆円、出資66兆円、計352兆円が比較的換金可能な金融資産である。そのほかに、有形固定資産178兆円、運用寄託金105兆円、その他18兆円。
負債は1143兆円。その内訳は、公債856兆円、政府短期証券102兆円、借入金28兆円、これらがいわゆる国の借金で計976兆円。運用寄託金の見合い負債である公的年金預り金112兆円、その他45兆円。ネット国債(負債の総額から資産を引いた額。つまり、1143兆円-653兆円)は490兆円を占める。
先進国と比較して、日本政府のバランスシートの特徴を言えば、政府資産が巨額なことだ。政府資産額としては世界一である。政府資産の中身についても、比較的換金可能な金融資産の割合がきわめて大きいのが特徴的だ。
なお、貸付金や出資金の明細は、国の財務書類に詳しく記されているが、そこが各省の天下り先になっている。実は、財務省所管の貸付先は他省庁に比べて突出して多い。このため、財務省は各省庁の所管法人にも天下れるので、天下りの範囲は他省庁より広い。要するに、「カネを付けるから天下りもよろしく」ということだ。

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