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2018年11月 6日 (火)

ぶん廻し歩行

そもそも歩行は,何気なく行っていますが,実に様々な機能がうまく働いて初めて可能になります.すなわち上手に歩くためには,身体の位置を正確に認識してバランスを取りながら足を適切に動かす必要があります.このためにはまず眼からの視覚情報,内耳よりの身体の傾き具合の情報,さらに足の関節の曲がり具合などの深部感覚などをもとにして大脳皮質にあると言われる歩行中枢が足を動かす運動神経に正確かつ適切な情報を与える必要があります.従いまして歩行中枢が脳血管障害や脳腫瘍などで障害されますと歩行失行といって足に麻痺や感覚障害などがないのに歩けないという理解しがたい状態が起こります。
次に脳から脊髄を経て末梢神経となって足の筋肉に刺激を伝えるのが運動神経ですが,これには錐体路と呼ばれる中枢神経系に属する上位運動ニューロンと脊髄から筋肉までの末梢神経である下位運動ニューロンがあります.この運動神経系の障害により足は動かなくなりますが,上位ニューロンの障害では痙性麻痺と言いまして力を入れようとしても足が突っ張って硬直して力が入らない状態になります.そして下位ニューロンの障害では足の筋肉の緊張は低下し筋萎縮がみられます.この運動神経が,歩行には最も影響が大きいようですが,実は運動神経だけでは,ただ単に足を曲げるとか伸ばすといった単純な運動しか出来ませんので,これを補佐する必要があります.その役目を担っているものに錐体外路系と小脳系があります。
この2つの系によって歩行をスムースに行うことが出来るのですが,このうち錐体外路は大脳基底核と言いまして脳の奥深い場所にあり,運動の量,強さ,速さ,などの微妙なコントロールを行ったり,筋肉の緊張の具合をコントロールしております.そして小脳系は耳からの身体の傾きに関する情報や関節からの深部感覚など身体のバランスに関わる情報を統合しており,いわゆる平衡感覚に関係しています.以上が,歩行に関係する神経の役割ですが,これに加えて筋肉や骨,関節なども歩行には大いに関係していることは言うまでもありません.
 それでは次に,どのような病気でどのような歩行障害がみられるのか,順番にお話ししてゆきます.脳から順に行きますと,まずは錐体路の障害では痙性歩行という状態になります.これは下肢の筋肉の緊張が異常に亢進して足が突っ張った上,力も入らなくなります.代表的な病気が脳血管障害などによる片麻痺歩行という状態で,足が棒のように伸び,尖足といって足先も伸びたままとなっているため地面に引っかかります.これを避けるため足を外側に大きく弧を描くように回しながら歩く必要があります(ぶん廻し歩行).
 また脳性麻痺や主として脊髄の錐体路障害で起こる痙性対麻痺という疾患では,両足がつっぱり内股となって足尖で歩行し膝を擦るように歩くはさみ歩行という状態がみられます.それから錐体外路の障害では,おなじみのパーキンソン歩行というものがあります.これは錐体外路の障害により筋強剛(筋の緊張が亢進して固く強ばる)や無動(運動の速度や量が減る)が起こり,身体は軽く前傾し,足は一歩一歩の踏み出しが小さく小刻みとなり,腕の振りが低下します.またすくみ足や突進現象などもみられます.

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