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2018年11月 8日 (木)

身体失認により動作遂行時に身体の忘却・不使用がみられる患者に対する取り組み

【症例紹介】
 50歳代男性。右頭頂葉の脳梗塞により左片麻痺を発症。初期評価にてBr-stage(Lt)III-II-III、表在感覚軽度鈍麻、深部感覚中等度鈍麻であった。高次脳機能においては、身体失認を認め自画像にて各関節の位置関係がバラバラであり、さらに半側空間無視、左同名半盲、選択的・分配的注意障害、運動維持困難もみられた。その為、寝返り時に左上肢を忘れ背部への敷き込みや、行為に移る時に不利益な位置にあっても左上肢への配慮が乏しい状態であった。起立や移乗時には、目的の動作にのみ注意が向いてしまい、動作が粗雑となっていた。また、「左手足は死んでいる感じ」との記述がみられた。そこで,ポジティブな要素を評価した結果,閉眼では注意が身体へ向きづらく、開眼での視覚情報と健側の運動イメージを用いることで体性感覚への注意が向きやすいというポジティブ因子を認めた。
【病態解釈】
 症例は身体図式の歪みにて空間的位置関係の認識が困難となり、動作時に左上下肢に対する配慮の乏しさ・忘却や動作遂行における自己身体への不注意があると考えた。そのため、基本動作・ADLにおいて中等度介助が必要な状態であった。
【治療・結果】
 治療ではポジティブ因子を用いて各関節の位置・運動方向の識別、身体の空間的位置関係の識別を行い、左側への認識・注意を促した。これには,ポジションの変化に伴う関節の位置関係の変化も含まれる.結果、自画像においては各関節の位置関係が理解可能となった。身体失認に関しては、寝返り時に左上肢を腹部へ置くなど自己管理が可能となり、起立や移乗に関しても下肢及び上肢への注意の配分も可能となった.また、動作時に次の動作への配慮や確認も可能となった。さらに、「徐々に自分の手足になってきている」と左上下肢に対する記述が増え、同時に左上下肢の忘却・不使用が軽減した.結果、基本動作・ADLにおいては監視~軽介助となった。
【考察】
 今回、視覚情報・運動イメージを用いて自己身体を意識させることにより自己身体の位置関係の認識が高まり、主観的感覚が現れたと考えられる.したがって、動作においても身体への能動的な注意により次の動作への予測が可能となり、左上下肢の認識に変化がみられ、行為への汎化が促されたと考える。

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