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2018年11月 6日 (火)

半側空間無視

一般的には半側空間無視(unilateral spatial neglect;USN, hemispatial neglect)が使用されています。これは、視空間の半側に存在するものに対して無視したり、あるいは気付かないかのように振舞ったりする現象です1)。半側空間失認(unilateral spatial agnosia)は同義語として用いられていますが、厳密には「失認」ではなく、「注意障害」と考えられていますので、半側空間無視の用語のほうが一般的です。半側無視(unilateral neglect)はあまり使われません。しかし、国際的にはunilateral spatial neglectとhemispatial neglectとともに、unilateral neglectも使用されています。
 この半側空間無視は、左大脳半球頭頂葉後部の病変による右半側空間無視も見られますが、通常は右大脳半球頭頂葉後部の病変による左半側空間無視の方が多く、右半球の脳血管障害の約4割に見られます2, 3)。この大脳半球頭頂葉後部は中大脳動脈領域であるために、多くは右中大脳動脈領域の脳梗塞により生じます。また、無視側の視野の同名半盲を伴っていることが多いのですが、半盲があれば半側空間無視を必ず生じているわけではなく、半側空間無視は半盲などの視野障害あるいは眼球運動障害が原因で起こるものではないと考えられています4, 5)。この診断には、日常生活場面での動作をよく観察することがもっとも重要です。例えば、片側に置かれた食事を食べ残すとか、片側にある障害物にぶつかったりするということが見られます。補助検査法としては、欧米ではBehavioral inattention test ( BIT )が比較的よく使用され、日本では日本語版BIT行動性無視検査として用いられています2)。検出率が高く、定量化もできて便利な検査としては“線分二等分試験”があります。この試験は20 cmくらいの水平な線分を示しニ等分させるもので、半側空間無視があると無視側と反対側に線分中点マークがずれます。ずれが1 cm以上右に偏れば無視ありとし、真の中心からマークまでの距離を線分の長さで割ってずれのパーセントを求めれば定量的にも表示できます6)。その他の検査としては、模写課題、人物像の描画や時計の文字盤記入の課題などもあります。視覚的な検索能力検査としては“Albertの消去テスト”があります。半側空間無視は日常行動の妨げになりやすい障害であり、大脳病変、とくに右側病変のある場合は、必ずこれらの検査をするほうがよいと考えられています。
 半側空間無視の予後には、病巣の広がりが最も影響すると言われています。そのほかに、片麻痺などの運動障害や感覚障害、あるいは注意機能障害や知的機能障害の影響がこれに加わります。また、年齢的には高齢者のほうが予後不良となります7)。

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