ディスクール
英語ではdiscourse。フランス語の原義は〈談話〉〈話〉といった意味であるが,特に現代思想の術語として〈言述〉〈言説〉と訳される。(1)単語や文ではなく,文の集合体を言語単位としてみる言語学の概念。(2)エミール・バンブニストの理論に基づく。発話の主体や発話行為,発話の状況など,コミュニケーションの場との関係のなかで捉えられた言語記号体。ディスクール=テクスト+コンテクストと公式化できる。言語記号を社会的・文化的視点から考察するときに有効。(3)M.フーコーの概念。真理と非真理とを決定する知的言語記号(言表)の集合体。認識の基盤を形成し,何が真理であるかを認定するもので,政治的・制度的な権力作用と結びつくとともに権力を行使するもの。その起源と系譜は歴史的に検証可能であり,その作業がニーチェの系譜学から学んだ〈考古学〉。J.ラカンによる,シニフィアンと主体の欲望の対象との関係からするディスクールの4分類(〈主人〉〈大学人〉〈ヒステリー患者〉〈精神分析家〉)も知られる。文学批評や文化研究では(2)と(3)の意味が一般的。
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