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2018年9月 9日 (日)

身体図式


【はじめに】身体図式とは,自分の身体の姿勢や動きを制御する際にダイナミックに働く無意識のプロセスのことを言う。今回,半側空間無視の所見を認めないPusher現象を呈した症例を経験した。半側空間無視とPusher現象の関連性については過去に報告されているが,身体図式とPusher現象の関連性についての報告は少ない。我々はそこに着目し神経解剖学的に障害像を考察したので,本人・家族の了承を得たうえで報告する。
【症例紹介】86歳女性。平成18年1月29日脳梗塞(左被殻・内包)右片麻痺にて発症。2月2日よりPT開始。Br Stage上肢・手指・下肢4。感覚障害や注意障害,知的低下を認めた。坐位・立位・歩行といった姿勢・動作では非麻痺側で押す動作を認め,麻痺側への傾きを認めた(Pusher評価チャート合計5点)。
【仮説・考察】症例の特性として,姿勢制御に対して視覚情報により姿勢の傾きを認知することは可能であったが,体性感覚情報のみでは姿勢の傾きを認知することは出来なかった。このことから,感覚情報入力の乖離が身体図式を歪ませPusher現象として出現したのではないかと仮説を立てた。以下にこの感覚入力を含めた神経回路に焦点をあて,身体図式の形成と運動が調節されるプロセスを文献的な考察を加え,検証していく。
身体図式は,視床から内包を経由した体性感覚情報と外側膝状体を経由した視覚情報がそれぞれ頭頂連合野にて統合され形成される。この情報は,被殻を入り口とする大脳基底核内に伝達され運動調節に利用される(皮質-基底核ループ)。また視床から皮質を介さない感覚情報が辺縁系へ伝達され,過去の経験に基づく内部モデルの情報が基底核-辺縁系ループを介し,基底核の情報に反映される。ここまでに形成された情報が,補足運動野・運動野へ伝達され錐体路を経由し運動発現として出力される。このような神経解剖学的な事項に症例を重ねてみると,以下の3点が考察される。(1)内包障害により感覚障害を呈し,頭頂連合野にて歪んだ身体図式が形成されたこと。(2)大脳皮質からの入力部である被殻の障害により運動調節に支障をきたしたこと。(3)側頭葉・辺縁系における内部モデルの情報と基底核内への情報入力に差異が生じたこと。以上の重複した障害が身体軸の歪みを引き起こし,運動発現に至るプロセスに影響した為,Pusher現象として出現したと考える。
【おわりに】脳卒中片麻痺患者の障害像の理解において,病巣理解や神経解剖から仮説・根拠を立てて考察した。今回本症例の解釈に難考し,改めて仮説・検証・考察という過程を得る事や感覚統合などに着目しながら治療介入していくことが重要と考える。

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