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2018年9月25日 (火)

感覚障害

【はじめに】体性感覚は円滑な動作の遂行と深く関わっている.Gibsonは知覚と運動は円環するものであるとし,運動と知覚は切り離せないものと述べている.脳卒中片麻痺患者で感覚が重度に障害されると動作の円滑性が無くなり,さらには代償運動につながる可能性が大きい.しかし,臨床場面では運動障害に比して感覚障害は軽視されることが多い.演者は感覚障害を改善することが,運動機能回復を改善するうえでも重要と考える.そこで今回重度感覚障害を呈した脳卒中片麻痺患者に対して,脳は感覚をボトムアップによって意味付け(知覚)すると同時に過去の経験により生成されたイメージによってトップダウンに意味付け(知覚)しているという仮説をもとに,訓練を考案し比較的良好な結果を得たので報告する.<BR>【症例紹介】50歳代(男性)診断名:右被殻出血(平成20年1月発症)障害名:左片麻痺.左下肢Br.stage:3.感覚障害:表在覚(1/10)深部感覚は重度鈍麻,知覚テストでは圧覚(三種類の硬度の異なるスポンジの識別困難),関節位置覚(関節の位置の方向,角度の識別困難)は左膝から末梢は足底も含めて低下していた.立ち上がり動作時は非麻痺側下肢への過剰な荷重が認められた.また歩行においても非麻痺側優位の歩容で足底接地時には足底を床に叩きつけるような歩容を呈していた.症例は足底の接地感が無いと述べた.なお本発表は症例の同意を得て行った.<BR>【病態解釈と訓練】本症例は上記のような代償運動を呈していた.代償運動の原因としては感覚の障害に加えて注意機能の変質により足底からの触・圧情報を的確に選択(知覚)することが困難になった結果,生じているものではないかと考えた.訓練としては硬度の異なるスポンジ3種類を用いて足底での識別課題を行った.またこの時にどの部位にどのタイミングでどのような情報に注意を向け,さらに非麻痺側でスポンジの硬度の各々を過去の身体経験から何に例えられるか思考した後に麻痺側で十分にそのイメージの予測を立て比較照合する課題を実施した.<BR>【結果および考察】症例は当初足底に置かれたスポンジの3種類の識別が困難であった.そこで上記のようにどの部位にどのようなタイミングでどのような情報に注意を向け,過去の知覚イメージも用いて課題を実施していった結果,圧覚の知覚が向上し3種類のスポンジの識別が可能となった.立ち上がり動作,歩容においても麻痺側への荷重量が向上した動作が可能となった.森岡によると脳は過去の知覚経験により生成されたイメージによって知覚を生み出していると述べている.本症例においても当初は単に圧を識別する課題では識別困難であったが,過去の身体経験に基づき注意機能の援助をした結果知覚が向上し,代償動作が抑制された結果,歩容や立ち上がり動作が改善したと考えた.

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