精神論ぬきの保守主義
各人が自分と身内のことを第一に考えている限り、保有物、財をめぐる争いが生じる可能性がある。勤労や幸運によって得た財は、他人に力ずくで奪われる恐れがある。しかし、もし「社会」を形成することでそれらの財を増やすことが出来れば、それは各自を「社会」形成へと強く動機づけることになる。
社会のすべての成因が取り決め=黙約を結び、これらの外的な財の保有を固定し、幸運や勤労によって得るものを各人が平和に享受するに任せておく以外に、この目的を達する方法はない。「黙約」は意図的に成される「約束」ではない。同じ行為を反復している内に、そのことの利益に各人が次第に気づくことを通して毛形成される。利益を感じている人たちは、一定の規則に従って、自分の振る舞いを規制するようになる。相手も自分と同じようにふるまうであろうという前提の元で、相手がその材を保有している状態をお互いに認めるようになる。そうやって共通の感覚が形成され、それがお互いに認識されるようになった状態が「黙約」である。(ヒューム)
« 失った手足の痛みを感じる仕組み | トップページ | 同じ言葉でも »
「書籍」カテゴリの記事
- 夢のフィールド(2022.02.13)
- 精神論ぬきの保守主義(2022.02.12)
- 丸山圭三郎『ホモ・モルタリス』(2018.12.03)
- 精神論ぬきの保守主義(2018.07.04)
- 早稲田文学(2018.06.28)
コメント