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2018年6月23日 (土)

吉本隆明『死の位相学』

祖父母の死は、時期的にも子供たちの死の怖れや。 不安の覚醒と重なっていた。蒼ざめて眼を閉じている祖父母の顔。運動会のメダルをとっ てきたといって営めそやしてくれ、成績がたまによかったといって頭を撫でてくれた豊か な祖父の顔、また夜ごと股のあいだに妹をはさんで、温めてくれた祖母の身体の感触。そ れが寝たり起きたりの日々を送っているうちに、或る晩から突然に呼吸が荒くなったよう におもわれ、それ以後日眼覚めることも話すこともなかった。どれほどの苦痛が訪れ、ま たどれほどの無感覚が身体のどの部位を侵していたのか、子供たちにはまったく判らなか った。また身体を横たえたままに、呼吸する機械のように動かないのは、脳のどの部位が 死の打撃を受けつづけているのかも知らなかった。やがてほとんど呼吸も絶えだえになっ てくると、近親たちは綿にひたした水で祖父母の唇を潤した。かわるがわる子供たちも母 の言いつけで昼に綿をもっていった。それが何の意味なのかわからなかったが、別離の印 しだとみなしたのだ。この祖父母の別離(死別)の意味は、謎にみちていた。やがて呼吸 が止まった。その直前と直後とで何が変ったか、子供たちは理解はできなかったのだ。
M・フーコーは、幼時にわたしたちが体験した祖父母の瞑目や、呼吸の停止の内側で起 こっている「死」の位相の領域をはじめて記述してくれたとおもえる。M・フーコーは 『臨床医学の誕生』のなかで、この生体の死の微細な表情を、次のように記している。
これらの語るところは、死に対して生が浸透性を持っている、ということである。 ある病的状態がつづく場合、「死化」によって最初におかされる組織は、いつも栄養 が最も活発なところ(諸粘膜)である。次には諸器官の実質で、末期においては鍵や 腱膜である。こういう次第であるから、死は多様なものであり、時間の中に分散して
「 ・・・F13 J-L 、会するというような、か
M・フーコーは、幼時にわたしたちが体験した祖父母の瞑目や、呼吸の停止の内側で見 こっている「死」の位相の領域をはじめて記述してくれたとおもえる。M・フーコー は 『臨床医学の誕生』のなかで、この生体の死の微細な表情を、次のように記している。
これらの語るところは、死に対して生が浸透性を持っている、ということである。 ある病的状態がつづく場合、「死化」によって最初におかされる組織は、いつ栄養がが最も活発なところ(諸粘膜)である。次には諸器官の実質で、末期においては腱や腱膜である。こういう私大であるから、死は多様なものであり
腱膜である。こういう次第であるから、死は多様なものであり、時間の中に分散して いるものである。それを起点として時間が停止し、逆転するというような、かの絶対的、特権的時点はない。死は病そのものと同じように、多くのものが集まっている存在在であって、分析によって、時間と空間の中に配分されうるものなのである。少しず つ、あちこちで、結び目の一つ一つが切れ始める。少なくとも主な形においては、
体の生命が停止する。というのは、個人の死のずっと後まで、生命の小さな心がけ で頑張っているのを、今度は極く小さい、部分的な、いくつかの死がおそって、解体 させることになるからである。自然死においては、動物的な生命がまず消える。最初 に感覚の消滅、脳の衰弱、運動の減弱、筋肉の強進、その収縮性の減弱、腸管の準麻 癖、最後に心臓の鼓動の停止。この継続的な、いくつかの死の時間表に、空間的な表 を加えなくてはならない。それは生体の一点から他の点へと連鎖状にもろもろの死を ひきおこす相互作用の表である。これらの死は根本的な三中継所を持っている。つま り心臓と肺と脳である。心臓の死が脳の死をひきおこすのは神経路を経てではなく、
動脈網を介して(脳の生命を維持する運動の停止)、または血管を介して(脳を障害 し、圧迫し、その活動を妨げる黒い血液の運動停止、またはむしろ反対にこの血液の 逆流)行われるのだ、ということを証明することができる。
ブランショが人間の「死」を、人間存在の平等の原則と結びつけたかったように、M/フーコーは生体の「死」を微分的に内在的に領域化する方法によって、「生」と「病い」にたいしてそれらを同一のbq署から別別に照らし出す原理としたかった。
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