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2017年6月29日 (木)

ジョージ・オーウェル『動物農場』

『スペインでのこうした人間狩りは、ソ連での大粛清とほぼ並行して行われており、いわばそれを補うものとなっていた。スペインでもロシアでも、糾弾の中味(つまりはファシストとの共謀)は同じで、スペインに関する限り、そうした罪状はどう見てもウソだったと考えている。(略)
民主国の啓蒙された人々の意見を、全体主義的なプロパガンダがどれほど簡単にコントロールできてしまうかを教えてくれたのだ。
妻も私も、罪もない人々が単に異端の疑いをかけられただけで投獄されるのを見てきた。それなのにイギリスに帰ってみると、常識ある知識豊富なオブザーバーたちの実に多くが、モスクワ裁判を報じる新聞報道に書かれた、実に突拍子もない陰謀だの裏切りだのサボタージュだのの嫌疑を鵜呑みにしているのだ。(略)
さらに、イギリスのような国の労働者や知識人たちは、今日のソ連が1917年とはまったく違う国だというのを理解できない。その原因の一部は、当人たちがそれを理解したくない(つまりどこかに真の社会主義国が存在すると信じたい)ということだし、一部は公共生活においてそこそこの自由と穏やかさになれてしまったために、全体主義というものがまったく想像できないということだ。』
(ジョージ・オーウェル「『動物農場』ウクライナ語版への序文」山形浩生訳) 

21世紀の日本でもまったく他人事ではないですね。
すでに明らかになった事実には耳目を閉ざして「報道しない自由」を行使し、疑いをかけた相手に何ひとつ具体的な証拠を出さないまま「丁寧に説明しろ」と「自白」を迫る「第四の権力」。「倒閣」の意図が「透けて見える」どころか、もはや隠そうともせず、あられもない姿で。
 
本編は、端的にいって、リベラルの欺瞞を描いた寓話です。

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