比喩
世の中には比喩を理解できない人がいる。
そもそも「比喩」って何か?
ひゆ
【比喩・譬喩】...
《名・ス他》物事の説明や描写に、ある共通点に着目した他の物事を借りて表現すること。たとえること。その表現。
言い換えるなら、話の意匠をズラしてやることでその骨格・構造をより明らかにするってことだ。比喩を理解しないということは、骨格・構造を理解していないってこと。
一般に役者というものは、台詞のコノテーションに敏感だ。作家の意図していない「行間」まであえて誤読して、隙あらば自分の役を「おいしく」仕立てようとする。
舞台に立つ人間としてこの自己顕示欲は基本的に正しい。
しかし希に、これと真逆の動きをする役者がいる。台詞から当然イメージされるであろう抽象性を排除し、むしろそこに〈書かれてあるとおり〉の具体的現象に解釈を矮小化してしまう。文脈を読み取ることをせず(できず)、「割り振られた」台詞から刹那的に感情をこしらえようとする。
おそらく「比喩を理解できない人」なんだろう。
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