中島義道『ひとを〈嫌う〉ということ』
「なぜAのことを嫌うのか?」
そう問われて、自分がAのことを嫌っている理由を探す。
たとえば「モノを食うとき口をくちゃくちゃさせるから」。
では仮に、その「理由」がAから取り除かれたとしたら? つまり「くちゃくちゃ」しなければ、Aのことを嫌いじゃなくなるか。
そんなことは決してない。今度は「おしぼりで顔を拭く」のも気に入らない。
つまり「原因」を言ったようでいて実のところ、そもそも嫌いなAの属性を手当たり次第に指摘しているに過ぎないのだ。
そう著者はそう分析する。
すでに嫌いの「原因」をその人の属性から「その人自身」に変化させてしまっている。
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