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2015年5月 9日 (土)

総括

たとえばものすごく記憶力のいい赤ん坊を想定する。
濡れたおしめの不快さと、泣いたことを憶えている。けれど赤ん坊は言葉を知らぬから、厳密には「不快」という概念すらまだなく、自分がなんで泣いてるんだかも認識できない。時が経ち、言葉を獲得してはじめて、「濡れたおしめ」→「不快」→「泣く」という一連のストーリーを当時の状況に与えることができる。
これが赤ん坊でなく、20歳の若者であったら、どうか?
すでに言葉を知っている。物心はついている。けれど、自分を取り巻く状況を、やはり認識しきれているわけじゃない。確固とした当時の記憶がまずあって、それが時を経て薄れていくわけじゃなく(むろん、そういうことの方が圧倒的に多いわけだけれど)、むしろ後から言葉を与えられることで、やっと過去の「体験」ができあがる。
つまりこれが「総括」するってことなんじゃないか。

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