自己責任論
小学生の頃、利根川の支流の淀みでよく小魚をとって遊んだ。しかし親からも学校からも、決して川の本流には近づくな、と釘を刺されていた。
毎年、流されて死ぬ子供があるからだ。
親は言う。流されれば、警察やら何やら大勢の人に迷惑をかけることになるのだから、と。しかしそれはもちろんパフォーマティブな言い方で、そんなことが、私の「自由」を制限する理由じゃない。
〈流されれば私が死ぬ〉からだ。
「迷惑」云々は、コトの重大さをガキにもわからせるための方便にすぎない。そんなことは、大人でありさえすれば、相当のバカでも理解できる。
朝日新聞特別編集委員が「読売に抜かれてるぞ、がんばれ産経」などと、挑発的かつ幼稚なツイートをしてるんだとか。https://twitter.com/tanutinn/status/561508494260850688
淀みで遊ぶ私(ら)を尻目に、ザブザブと本流に入り、やや大きめの魚を手にして戻ってくれば、「虎穴に入らずんば虎児を得ず」と説教の一つも垂れそうだ。
それでも、もしも彼が溺れたら、私(ら)は彼を見殺しにすることはできない。そういう「自由」は私(ら)に認められていない。この非対称性。
いわゆる「自己責任論」というのが、こうした文脈上に現れる=召喚されるのだということは、よく記憶しておいた方がいい。
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