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2015年2月22日 (日)

地雷

これが一般的なやり方なのかどうかわからないけど、私は稽古の早い段階で、出演者にホンの「狙い」を解説してしまう。
それは作品のテーマだとか、そういう話じゃない。まして、それに共感を求めるものでもない。共感がまったくなくていいとはいわないが、演じるのが苦痛でない程度でいい。
私が言うのは劇構造の話。
 
たとえばアドリブについて。
「アドリブ」をググったら、こういう解説があった。
『演劇、放送などで、出演者が台本にない無関係の台詞(せりふ)や演技を即興ではさむこと。また、その台詞など。』
演出家によって好き嫌いはあるだろうが、予定調和を脱臼させる効果は確かにあるし、一概には否定できない。けれどやる際に、少なくとも踏んではいけない「地雷」がある。
 
「地雷」の例をひとつ示せば、レティサンス(黙説法)の破壊だ。
あえて言い落とすことによって観客に想像させたり、余韻を感じさせたりする意図で書かれてある(書かれてない)台詞を、俳優がアドリブで「説明」して台なしにすることがある。  
俳優は己の「内面」に従ったのだろう。演じる際に「気持ち」が大事なのは確かだが、「気持ち」一本槍で行くと、こういうことが起こる。 
それを避けるため、私はあらかじめ「地雷」のありかを劇構造のレベルで出演者に示しておくというわけだ。

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