お天道様
無神論者とはいわないが、「神」を普段明確に意識しない、私を含む多くのフツーの日本人にとって、「天網恢恢疎にして漏らさず」だとか「お天道様が見てる」だとかって、わかったようで、実はよく、わからない。
いったい「お天道様」の正体って何なのか?
「世間の目」だとか「同調圧力」と解釈されがちだけれども、それも、ちょっと違う気がする。「良心」といってしまえば、そりゃまあそうなんだが、そもそも「善悪」が相対的である以上、何が「良心」で何が「悪心」なんだか、決められない。
一時期、現象学で説明がつくんではないか、と思ったことがあったのだけど、うまくいかず、結局考えるのをやめてしまった。
それと関係あるような、ないような話なのだけれど、「善」やら「自由」やら「正義」やら、その手の言葉をやたら軽々しく口にしたがる人がいる。
彼らに共通の傾向として、どうも自分がアプリオリに近代人としてこの世に生を受けた、と思い込んでるフシがある。少なくとも私にはそう思えてしょうがない。
確かに、人生一回こっきり。仮に輪廻転生を信じるにせよ、この世で他の時代、他の土地、他の親の下に生まれ直すなんてことはありえないわけだから、今の自分の境遇を「自明」とするのも、むしろ当然のことなのかもしれないけれど、私自身は、なんかもっと、遠い過去から流れる時間の中に偶然ポトンと産み落とされた、というような感覚がある。
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