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2014年12月10日 (水)

熱さ

死傷者数を比較する統計資料を前に、テレビの司会者は、「“数”の問題ではないと思いますが」と、今まさに「数」を問題にしている局面で、意味のないコメントを付け加えずにはいられなかった。
「数字(=ロジック)」というものが纏う“冷たい”イメージを“情緒”で中和してみせたというわけだ。
彼の最も恐れることは、統計から読み取るべきことを読み取れず、伝えるべきことを正確に電波に乗せられないこと、ではなくて、視聴者の機嫌を損ねることなのだ。
「とにかく許せない!」という、あれだ。
翻っていえば、視聴者の目が“冷たく”成熟してさえいれば、司会者も、こんなつまらん配慮をする必要がない。
だが番組の作り手は、視聴者がそんなふうに成熟した状態にないことを知っている。そしてそれはその通りなのだ。となれば、その“熱さ”を逆手に取って、他の誰かに対する機嫌を損ねさせればよい。
メディアにとって、“熱い”幼稚な大衆の「印象操作」など簡単だ。

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