真冬
真冬に札幌の倉庫で芝居をしたことがある。
倉庫の中にイントレを組み、ブルーシートでテントを作る。そういう二重構造にしなきゃ、寒くてとてもいられない。
私は役者兼舞監みたいな立場で、深夜に舞台美術の仕込み。「一人でいい。他の役者は帰れ」というのに帰らず、妙にやる気を見せる後輩がいて、しょうがないから置いてやった。
夕飯は鍋。水道がないので、見た目にまあまあきれいかな、という雪を溶かして水を得る。キャンプみたいだ。食事を終え、さて、作業に取りかかろうかという段になって、後輩は寝てしまう。
気温は当然氷点下。ほっときゃ確実に死ぬので、数少ない石油ストーブをすべて後輩のまわりに置いてやり、私は一人、寒さに凍えながらの作業を強いられたのだった。
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