オンリーワン
若い頃には自分の「天才=オリジナリティ」を信じたいものだ。それが赦されるのが若さの特権だけれど、現実には、大半の人間は「天才」なんかじゃない。
アタリマエだ。大勢と比較して突出した才能こそが「天才」と呼ばれるのだから。
それでも、そうした実存主義的な信仰は根強い。
歌謡曲でも「ナンバーワンよりオンリーワン」などと歌われ、それが平気でヒットする。
けれど、需要があるのは実のところ、せいぜい類型からの「ズレ」の肯定だ。マジで「オンリーワン」を実現しようと思ったら、無数の他者に対する「私」の差別化が延々と繰り返されねばならず、その結果、「私」などというものはどこにもいないという結論に至らざるを得ないのだから。
むしろ「私」が消失してしまう。
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