振り込め詐欺
ある朝、私のケータイに母から電話があった。
「あれ? 出た」と母。
「何?」
「ケータイ、トイレに落としたんじゃなかったの?」
「は?」
「喉は?」
「ノド?」
「痛くないの?」
「べつに…てか、さっきから、何、言ってんの?」
母が言うにはこういう事だ。
昨夜、私が母に電話してきた。喉が痛いので、医者に行かねばならないが、耳鼻咽喉科がいいか、内科がいいか、と相談した。母は、なんか声がおかしいな、と思いつつ、喉を痛くしてるのだしな、と自分を納得させ、「内科に行くように」と勧めた。私は、ではそうする。あ、そうそう、ケータイをトイレに流してしまったので、今までの番号を消去して、新しい番号を登録して、と言った。
そして母は、私がトイレに流した、つまり今まで通りの番号に、念のためかけてみたというわけだ。
「振り込め詐欺じゃん」
「でもお金を要求されてないよ?」
「これから、されんだよ」
私は警察に通報した。事情を説明すると、出身高校を聞かれた。訝しみつつも私は答えた。すると相手は、私の卒業年度を言ってみせた。
「どうしてわかったんですか!?」
同様の通報がすでに3件もあったのだという。すべて同じ高校の卒業生。つまり、同じ卒業者名簿を使っての犯行だろう、ということだった。
「そういうことらしいよ」と私が電話の向こうの母に言った。
「なるほどね。ところで、喉の痛みにはアミノ酸のサプリメントが効くらしいよ?」
「だから、喉なんか痛くないんだってば!」
***
後日、内科から帰った「私」が、再び母に電話してきた。
どうやら私は居酒屋勤務の女(27歳・既婚)を妊娠させてしまい、相手の旦那がカンカンで、400万円要求されたのだが、弁護士を間に入れて、なんとか100万円にまけてもらったらしい。
その100万円を用意してくれという、およそ劇作家としては失格の陳腐な筋書き。
「結婚しちゃえば?」
母は私にそう助言したらしい。
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