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2014年8月23日 (土)

今の日本に演劇というものが必要か

「今の日本に演劇というものが必要か、と自問自答し、むしろこんなときだからこそ、と上演を決意した」
3.11以降しばらく、この手のパターンの文章をいろんなところで目にした。
〈葛藤〉を口にしてみせることが“誠実さ”のあらわれであると思い込んでいるらしい。また、このような状況下で興行に関わることのエクスキューズにも見える。

だが
作家としてほんとに“誠実”であろうとするなら、まずは言葉のインフレに自覚的であるべきじゃないのか。
ほとんど「枕詞」のように形骸化し
た「こんなときだからこそ」的フレーズを躊躇なく書きつけてしまうその厚顔無恥こそを本来恐れるべきじゃないのか。

そもそも劇を書く人間にとって、己の仕事が社会に必要か否かと、〈有用性〉を物差しに内省的になってみせることの、いったい何が「誠実」であろうか。

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