左翼小児病
北大在学中、私には、「泊原発」の反対運動に関わる友人(?)がいた。
彼は社会問題に関心が高く、ナイーブで独善的、つまり典型的な「左翼小児病」であったが、この手の人間の行動傾向は、あの頃も今もちっとも変わってないな、とつくづく思う。
反(でも「脱」でもいいが)原発運動は、すでにエネルギー政策の問題なんかじゃなくなっている。
「政府のいうことは信用できない」というのが、彼らの基本的スタンスであるがゆえ、フツーの人の目には客観性・信憑性が高いと見える公の研究機関の知見は彼らには退けられ、代わりに自称専門家やら胡散臭いジャーナリスト、果てはミュージシャンや(元)俳優、マンネリグルメ漫画の原作者なんかが吹聴する、冗談みたいな妄想・陰謀論の類いを、陳腐な浪花節的ストーリーとパッケージで採用してしまう。
こうなるともはや科学ではない。「信仰」だ。
今は有意な情報がネットでいくらでも得られる時代だ。
たとえば、ICRP(国際放射線防護委員会)により採用された「LNT仮説」ひとつとっても、それがもともとX線とラジウムの被曝から人間を防護するための「政策」で生まれたものであることくらい、私のような門外漢だって知ることができる。
日本が放射線に過剰なまでに敏感になる背景にはおおむね広島と長崎がある。しかし、もっと大きな原因はLNT仮説(直線しきい値なし仮説)を支持し、1950年代に大気核実験に異議を唱(とな)えた善意の活動家にあるかもしれない。LNT仮説とは、放射線はどんなに微量であっても健康に害があるとする考え方だ。
遅ればせながら、そうした問題に関する権威機関の1つ、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)は、かつて擁護していた疑義あるリスク計算式を撤回しようと先頭に立って動いている。【オピニオン】福島第1原発への理性的な対応妨げる放射線恐怖症http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424127887323410304579070472363568220?mod=wsj_share_tweet
上記リンク先の記事はこうも書く。
反原発活動家にとってさらに悩ましいのが、中には最大600ミリシーベルトの被ばくをした人もいる福島第1原発の作業員にさえ、放射線を原因とする疾病が見受けられず、今後発症する見込みもないとUNSCEARが断定したことだ。
「そんなはずはない、今はまだ潜伏期間で、これから必ず疾病は起こる!」
この期に及んで今なお決して「学ぶ」ことをしない、左翼小児病の「患者」たちは、そう主張する。
このエビデンスなき主張が、被災地への「呪い」の源である。
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