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2014年8月27日 (水)

『貧困旅行記』つげ義春

本書収録の「蒸発旅日記」は、語り部の「私」が、産婦人科の看護婦S子と結婚しようと“一方的”に決めたところからはじめる。
途中、「私」はストリッパーM子に出会う。M子との再会を求めて劇場に行くが、彼女が散歩に出ていて会えず、諦めて「私」がバスに乗ったところで、「日記」は静かなクライマックスを迎える。
このくだりがたまらなく好きだ。

私は去り難くなりバスの後方へ目をやった。と、そこにM子の姿が目に映った。M子は乳母車を押していた。座長の子供の子守をしながら散歩をしているのだった。まぶしく照り返すアスファルトの道をぼんやりした面持ちで、バスの後方に近付いて来た。私は身をかくすように座席に身体を沈め、後髪をふりきるように目を閉じた。バスは発車した。

 

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