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2014年8月27日 (水)

『東京日記』内田百閒

牛よりも大きな鰻が堀から出て、電車通りを這っている。

辺りは真っ暗になって、水面の白光りも消え去り、信号灯の青と赤が、大きな鰻の濡れた胴体をぎらぎらと照らした。

私の頭の中にある光景は、内田百閒の「東京日記」にある描写を読んでのものなのか、はたまた映像化された何かを見たのだったか? いや、違う。挿絵だ。と思い至り、「文藝別冊[総特集]内田百閒」を広げて見ると、逆柱いみりのイラストが描かれてあり、そうそう、これこれ! と、ようやく合点がいった。はずだったが、「花火」、「山東京伝」、「烏」、「支那人」、「疱瘡神」、「白子」、「波止場」、「豹」…肝腎の、「東京日記」の挿絵が、描かれてないのである!

 

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