『砂男』ホフマン
「目」にまつわる怪奇小説。
読後感がカフカの「変身」に似てるな、と感じた。最後、主人公が死に、残された者はいわば厄介払いで、むしろハッピーなとことか。
暗喩によってもたらされる小説固有の不気味さを、舞台化することって可能だろうか? などと、ついつい考えてしまう。
たとえば、こんなくだり。
コッポラはいそいで晴雨計をわきに置くと、だぶだぶの上衣のポケットに手を入れ、柄つき眼鏡やら普通の眼鏡やらを取り出してナタナエルの机の上に並べはじめた。
「ほうら、ほら、鼻にかけるとよく見える―とてもすてきな目玉だよ!」
そんなことを言いながら次々と取り出しては並べていく。みるまに机の上が異様にピカピカ光りはじめた。数知れない目がギラリと輝き、おりおり烈しく目ばたきしながらナタナエルを凝視している。
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 「くださる/いただく」問題(2016.06.07)
- 三浦瑠麗『日本に絶望した人のための政治入門』(2015.06.24)
- 石平『私はなぜ「中国」を捨てたのか』(2015.06.02)
- 篠原常一郎著/筆坂秀世監修『いますぐ読みたい 日本共産党の謎』(2015.05.24)
- 『「みんな」のバカ! 無責任になる構造』仲正昌樹(2014.12.16)
コメント