正体
〈浅田や中沢の影響を受けた“80年代の若者たち”自身も、次第に年をとっていく中で、いつまでも自らの居場所(アイデンティティ)を定めずに、近代的な労働主体としての生き方を回避し続けることに疲れてきた。どこかに、安定した着地点を求めたくなる。しかし、不況の中でのリストラが続いているため、かつての“現代思想少年”たちが望んでも就職できないという現実があらわになると、今度は若者たちを不安定な立場に置きながら成長を続ける「市場原理主義的な経済」や、そうした苛酷な経済状態を温存しようとする「新自由主義的な国家」に対して、怒りの矛先が向くようになる。そのため、かつてのマルクス主義が描いていたような、きわめて単純に二項対立的な「権力/反権力」図式が部分的に復活してきた。(『集中講義! 日本の現代思想 ポストモダンとは何だったのか』仲正昌樹)〉
この10年くらい、私が同世代人に対しずっと抱き続けていた違和感の正体が、これだ。こんなふうなストーリーで説明されるとすごくよくわかる。
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