『ライチ光クラブ』古屋兎丸
原作は、伝説の劇団「東京グランギニョル」(飴屋法水主宰)の舞台。
「愛とは?」「美とは?」という問いを、そもそもそういう概念を持たぬ「人造人間」にさせるのは、ほとんど「古典」だが、それらを学ぶ目的が「美少女捕獲」という「悪」であるあたり、皮肉がきいている。
作者による「あとがき」によれば、漫画に登場する少女「カノン」は、演劇では「マリン」という名だったという。
80年代この演劇を観たオリジナルを愛する方には申し訳なく思うのですがこの漫画化にあたってストーリーはかなりの部分でアレンジを加えた。
演劇版で一番感銘を受けたライチとカノン(マリン)との関係は当時の雰囲気をなるべく残すようにした。
けれど、それにしては肝腎の「ライチとカノンとの関係」が物足りないと感じた。それはカノンの、自分のおかれた状況に対する切実さがあまりに不足しているためだと思う。描かれるはずだった「愛の物語」は、夥しい血と臓物に埋もれてしまった。
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