嫌悪感
マンションのエントランスで、帰宅してきた住民に「こんにちは」と声をかけたら、
「はい。こんにちは」。
この「はい」。
まるで学校の先生が生徒に言うような、あるいは上司が部下に言うような“受け流す”口調で、私はちょっとカチンときた。そういやこの男、管理組合の理事会でも何につけ妙に上から目線で、鼻持ちならぬと思っていたのだった。
私はこれを二つの点で面白いと感じた。
ひとつは「はい」の台詞ひとつだけで、かようにキャラを造形しうること。
もうひとつは、それが、ぼんやりした嫌悪感にくっきりした輪郭を与え、言語化可能な「感情」を形づくるのだという発見。
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