続・管理
これの続き。
かつて、貸主が鍵を置き忘れ、借主である我々の一人がわざわざ遠方まで取りに行ったことがある。その交通費は当事者間の話し合いに任せるにせよ、おかげで遅れた我々の仕事、機会損失をどう感じているのか? どうやら何も感じぬ人であるらしい。ずいぶんとナメられたものだ。
今日はその鍵の問題で貸主ともめた。
だいたい貸主がいたりいなかったり、戸が開いてたり締まっていたり、それが貸主の日常であっても、他者には一貫性を欠く非日常だということに、まるで思い至らぬらしい。自分の都合を相手が慮るのが当然だとでもいうように、明確化されない基準を恣意的に運用し、そこから相手が少しでも外れれば「モラルの欠如」という決めつけ。いったいこいつはナニサマのつもりなのか。どういう管理方法なのか、事前に聞いても明らかにされず、初日には鍵のありかもわからぬまま不在である。電話しろと言うから電話すれば今は忙しいから、という。それだけでもこっちは不要なストレスを抱えてきたわけだが、しかしまあ、それは今さらいい。ようやく先方の「常識」に慣れてきたかと思えば、これだ。
今日は、いつもと違い、なぜか直接貸主が鍵を持ってきた。もちろんいつもの通り裸のママで。つまりキーホルダーをつけるなど、紛失防止のための他者への配慮はない。それを「客」に管理させるのだ。ただでさえ他人の家のあちこちに目配せするのも難儀であるのに、この本番直前の慌ただしさの中、そういう気分次第のイレギュラーに付き合わされるこっちの身になることも、一切ない。自分本位の一方的なルール変更を「柔軟」とよぶ独善。
その鍵を、先方の手によって机の上に置かれたままの状態にしておいたら、知らぬ間に貸主側の人間が持ち去って、私の「管理責任」が問われることになったわけだ。
私としては、私自身の忘れっぽさが災いしてはいけないから、ポケットにしまい込むなどせず、貸主が確かにそこに置いたという姿がウチのメンバーの記憶にもあり、また決してウチのメンバーが手を触れることのない机の上から移動させなかったのだ。まさか貸主側の人間が持ち去ろうとは思わずに。どうやらそこまで先読みして「管理」することを求められているらしい。
そもそも、その時間、そこに部外者がいてはならぬはずだ。この時点で契約不履行であるが(賃借時間内に隣室で部外者が電話する声にも大い迷惑している)、そういう認識はまるでないらしい。あくまで「貸してやってる」というスタンス。なるほど、初日に用意しておくと自分でいった使用料の領収書も、こちらがせっついてようやく出てくるわけだ。実に示唆的。
ともかく一方的に借主のせいだと言い切り、私が推測できる事態を指摘し、持ち去ったと思われるその人に事実関係を確かめてくれと言えば、頼み方がなってないと「説教」までしてくれる始末。
なんだろうか、これ? どんだけ殿様商売なんだか。
鍵の行方は案の定だったわけだが、まったく呆れてものもいえない。これだけ「客」をイヤな気持ちにさせる人間が、エンタテインメントを語るなど、笑わせる。
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