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2013年11月 9日 (土)

本流

歌舞伎や新派のアンチとしての新劇、新劇のアンチとしてのアングラ、アングラのアンチとしての小劇場…というふうに、日本の現代演劇の本流はnをn+1が否定する形で連なってきた。
私は80年代に芝居をはじめ、いわゆる小劇場ブームを経験した世代だが、むしろアングラの系譜に属していた。nの視点でn+1を(嫉妬も含めて)苦々しく思っていたわけだ。
で、この頃文学の世界ではアメリカのミニマリズムが席巻していた。アングラ芝居をやりながら、私の愛読書はもっぱらレイモンド・カーヴァーやその弟子たちの小説だった。
私らの世代でこういう人って少なくないんだと思う。ゆえに、小劇場ブームが去った後の「静かな演劇」を抵抗なく受け入れられた。あたかも日常を模倣したような、“らしくない”スタイルの演劇が一過性の「出オチ」で終わらず、確固たるスタイルとしてむしろ本流となり得たのは、こういう背景があったのだと邪推する。

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