『夢十夜』夏目漱石
第六夜。運慶が仁王を彫るのを、見物人が次のように評す。
なに、あれは眉や鼻を鑿で作るんじゃない。あの通りの眉や鼻が木の中に埋まっているのを、鑿と槌の力で掘り出す迄だ
ならばこの自分にもできるはず、と主人公は手当たり次第に木を彫ってみるのだが、むろん素人に上手く彫れるはずもなく、「遂に明治の木には到底仁王は埋まっていないものだと悟」り、「それで運慶が今日迄生きている理由も略解った」という結論に達する。
この結びが、さらりと夢のロジックで、めちゃくちゃカッコイイ。
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