新妻
電車のつり革につかまったとき、腕時計が手首にないことに気がついた。
家に置き忘れてきたのだろう、とそのときは思ったのだが、帰宅後、どこを探しても、ない。
たいして高価な時計ではなかったけれど、三度もベルト交換をし、なんだかんだと10年以上使ってきたので愛着がある。文字どおり、ともに時間を刻んできた感じ。それが一瞬で離ればなれに。
長年連れ添った妻に、突然出て行かれたような気分だ。
仕方なく時計屋で、前妻とそっくりの新妻を買い求めた。
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