落とし穴
GW中、ピタパタは連日稽古であった。
そして(完全にホンを放してではないものの)何度か通し稽古もした。
正直、驚異的なスピードだ。
私自身、ここまでの早さは初体験だし、俳優陣も、おそらくみんなそう感じているのではないか。
私たちは、たとえば「広場」の前に立っている。
広場には、いくつかの落とし穴が埋まっている。
「さあ、どうぞ。“自由”にここを通って、向こうへ渡ってください」
演出家がそういえば、俳優ならば、まず、歩を進めるのを躊躇する。
「自由」という名の拷問だ。
だから私は、想定しうる落とし穴の場所を、あらかじめ俳優に耳打ちしてしまう。
その情報を元に、俳優は独自の迂回ルートを探る。
そこに俳優の「個性」というものが出るのだし、そもそも「自由」というのは、そういう限定的な条件の下にしかありえないのだ。
むろん、落ちて穴の深さを知り、痛みを感じるというやり方も、学校教育的には、あるだろう。
這い上がる「達成感」を得るためには、むしろ穴に落ちておかなきゃならない。痛みは、“青春”めいた味付けをする恰好のスパイスとなる。
しかし今、私たちは、「教育」をしているわけではないのだ。
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