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2012年4月12日 (木)

将来像

子供の頃、大人になったら何になりたいか、と問われれば、野球選手でもパイロットでもなく、迷わず「エーセー屋さん」と答えていた。
エーセー屋さんとは衛生局の職員、つまりバキュームカーで便所の汲み取りをする人のことだ。
「夢がない」と、親はうなだれた。

私が子供の頃は水洗便所はまだ少なくて、汲み取り式が主流だった。バキュームカーが来ると、子供らにとってはちょっとしたイベントで、「臭い、臭い」とはしゃぎながら、そのタンクを背負った車を意味もなく追いかけてまわったものだった。
そしてこれが子供にとって、大人の「労働」らしい労働に直に触れる唯一の機会だった。

私は労働に憧れた。そしてこんな空想をした。
「今日も一日お疲れ様」
夕方、縁側で母がお茶を出す。
私は臙脂色のゴム手袋を外し、タオルで汗を拭い、熱いお茶をズズズと啜る。
これがあるべき私の将来像だった。

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